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ゲーム、本その他、興味のあることをメモ。
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ニッケル・アンド・ダイムド -アメリカ下流社会の現実
単行本
B.エーレンライク
東洋経済新報社
平均評価:評価:4.5



 編集者の口車に乗せられた筆者は「自給6ドルや7ドルの仕事でどうやったら生活できるのか?」という命題に対し、自ら体験しレポートすることになってしまう。
 そうして、できあがったのがこの本だ。

 筆者が自らに課したルールは三つ。
 ・仕事を探す際、自らの学歴や本来の仕事から得た技能に頼らないこと。
 ・採用された中で一番高給の仕事を選び、それにたいして最善を尽くすこと。
 ・可能な限り安い住居を選ぶこと。

 筆者は、3つの都市で「ウェイトレス」「掃除婦」「スーパーの店員」として働くことになる。
 それらの全てで共通していたのは「住」を確保することの困難さと、就労時の「尿検査」だ。

 住に関しては、まとまったお金を用意できないから、アパートを借りることができない、等が高い敷居として存在してる。これは日本も同じだ。

 しかし、就労時に行う「尿検査」の存在には驚いた。
 場合によっては、観察官の前でしないといけないらしい。
 これらをクリアするための方法が、ネットの掲示板でやりとりされている様子も興味深かった。
 「マリファナは脂肪に蓄積されるから、痩せてる人は有利」とか「検査前に水をたくさん飲む」とか。

 この上、性格テストを受け、やっと採用が決定する。
 
 これらのプロセスは、本当にちゃんとした労働者を確保するために貢献してるんだろうか?
 実際は労働者に対して「ゴマカシはきかないぞ。ちゃんと見ているぞ」と言っているにすぎない。しかし、それによって、多くの労働者の行動に歯止めをかけていると、雇用側は考えているのかもしれない。

 一人称ということもあり非常に感情移入しやすく、また、ところどころに挿入される泣けるエピソードの存在等。問題提起という点では、本当によくできてると思う。

 しかし、「ワーキングプア」と命名されたことで、社会的に認められただけで、こういう人達は昔からいたんじゃないの?とも思う。

 「日雇い」「その日暮らし」なんて言葉はいつからあった?
 昔は、いずれそこから抜け出せたのだろうか?
 そして、これからは、こういう格差が固定化されていくのだろうか。本当に。


 
 
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伊東忠太を知っていますか
単行本
鈴木 博之
王国社
平均評価:評価:3.0


 知合いの船長さんと世間話をしていたのだけども。
 「靖国神社にある鳥居と同じものが、実家の島にある」
 という話が出てきた。

 その話を聞いて興味が湧いたので、設計者の伊東忠太に関する本を買ってみた。内容はちょっと微妙。興味深かったけど、面白く読むには構成に問題が(´・ω・`)

 さて、船長さんの実家は瀬戸内海に浮かぶ、かつては石の産地として知られた島らしい。
 船長さんが若い頃、島の年寄りから聞かされた「俺たちのやりとげたデカイ仕事」として、靖国神社の鳥居がよくあげられたんだそうな。

 伊東忠太の設計した鳥居は、三組作られたらしい。
 一組は靖国神社に。もう一組は朝鮮神宮へ。
 そして、最後の一組は、組み上げられることなく、島に放置されているらしい。
 すでに、4本の石柱のうち一本にスが入っているので、組み上げるのは不可能。複製しようにも、産出した採石所はすでに閉山している。なにより、同じものを、同じ工程で作れる技術者がすでにいないだろうし。

 あまりに大きく、昔から島に放置されているため、今さらどうにかしようと考える人もいないらしい。
 日帰りできそうなら、今度、見学にいってみようかなぁ。


 機械化されるまで、巨大な石を産出するのは結構な特殊技能だったのだろう。島だから海に近く、輸送も楽だったというのもある。
 しかし、機械化が進み、陸上輸送も昔にくらべ楽になるにつれ、だんだん寂れていったのだろう。現在はあまり多くの石屋さんはいないそうだ。

 できれば、三組全部の鳥居を見たいんだが、朝鮮神宮はすでに廃絶神社になっているようだ。
 鳥居だけでもまだ残ってないのかなぁ?
脳内汚染
単行本
岡田 尊司
文藝春秋
平均評価:評価:2.5



 かなり前に購入してはいたのだが、やっと読破。
 読むのに時間がかかった理由は、単に面白くなかったからだ。
 問題提起としてはよくわかった。でも、検証の方法とかどうなの?根拠は?無駄に不安を煽ってるだけじゃないの?
 ホントに因果関係があるかないかは、もちょっと研究が進まないとわからないんじゃなかろうか。
 ああ、どうでもいい感想しか書けません。

 ただ、一点非常に興味深い部分があった。
 本書36ページの「書き換えられる禁止プログラム」というところだ。

 例としてあげられた事件の要素は
 ・ケンタッキー州で14才の少年が起こした銃乱射事件。
 ・少年が売った8発の銃弾は、すべて標的の頭、上半身をとらえた。
 ・彼はこの時、生まれて初めて銃を撃った。
 ・普通は、反撃をうけるかもしれないという恐怖から、標的が倒れるまで連射する。本能的にそうするのだと、心理学者、軍事科学者のコメント。

 少年がどんなゲームをやっていたのかは書かれていないが、彼がゲームをすることで射撃の訓練になっていたと著者は考察しているようだ。
 でも、メンタルのトレーニングは積めても、フィジカルの方はどうなんだ?生まれて初めて撃った銃を、全彈、人間の上半身に命中させるというのは、どれだけの難行なんだろう。ちょっと想像もつかない。

 しかし、ゲームをしてこういったことが可能になるというは、すごいことじゃなかろうか。特に「本能的にそうするはずだ」と言われる行動を抑制するというのは。

 ホントにこんな効果があがるなら、純粋に技術習得の方法として、ゲームをブラッシュアップしていく方が良いと思うのだが。

 それはそれ、これはこれ。
 倫理的に不快感があるからといって、技術的な可能性をなんでもかんでも潰してしまうのはもったいない。
 もちろん、できることはなんでもやっていいというわけじゃないけども。



 こちらのブログで拝見して、購入

 私は、15年ほど前から数年間、太極拳を習っていた。
 体を壊したあと、ちょっとリハビリがてらにと思ったのだけども。私が習ったのは、結構ハードな流派だったので驚いた。それまで、自分が持っていたイメージとは違っていたからだ。
 そこでやってた大成気功に、このゆる体操は似ている部分があると感じた。

 さて、この本は「ゆる体操」を習うためのDVD付きの教本である。
 理論の概略、説明は非常に澱みのない語り口で、読みやすくわかりやすい。
 肋骨筋と呼吸の項は非常に興味深かった。もっと詳しく載ってる本があれば、読んでみたい。「50の身体意識」というものにも、興味が湧いた。

 「全身500の筋肉と、200の骨格をゆるめ、頭を良くする」など、素敵なフレーズが満載。非常にお得な感じ。

 しかし、巻末のあとがきにあるのだが「身体意識の全容を歴史上はじめて解明し、誰でもその動きを身につけられるようなトレーニング法を作り上げることに成功しました」と言い切るのはスゴイ。
 これは「人体の効果的な操縦方法を確立し、一般化しました」ということだよね?
 程度の差はあれ、これを習えば誰でも一定の水準を超えることができるのだろうか?マジで?
 でも、それはやってみないとわからない。

 これは是非、習ってうちの島でも講習をしたい。
 すでに、高齢化率は60%近いし。
 ゆる体操トレーナー講習というものがあるらしいので、資料を手にいれてみたい。
 
 大成気功との比較をしてる人がいるかなぁと思いググってみると、別件ではあるが王樹金の動画を見付けた。すごいな。Youtube。あんまり関係ないけども。 
農で起業する!―脱サラ農業のススメ
単行本
杉山 経昌
築地書館
平均評価:評価:4.0




 「週休四日」というコピーに惹かれて購入。いや、うちは年中無休の宿命があるもので。

 私の住んでいる島には、持ち主が高齢化し、跡継ぎもいないため休耕地になっているところがたくさんある。
 また、広い面積を持つ空き地としては、廃校になった学校のグラウンドとか。
 土地が余っているなら、島で農業を仕事のひとつにできるかもしれないので、ちょっと興味があったのだ。
 まあ、離島だから「輸送コスト」という楽しい宿題もあるんだけどな。

 島でできる仕事を増やすために、島での農業の実現可能性を考える上で参考になるかと思ったのだ。

 さて、この本は非常に読みやすい。
 そのうえ、わかりやすい。
 わかりやすさのポイントは、目的、問題提起をしっかりしており、その解決に至る手段も論理的、現実的であるためだろう。
 そのぶん、すごい地味なんだけども。
 泣きはないが、納得はできる。そんな感じ。

 やってることは、データの蓄積と分析、作業のマニュアル化、標準化。
 あと、ニセ科学と迷信の排除。
 読んでいて「こんなとこにまで水商売の魔の手が!」と、正直驚いた。

 「現状、問題があるとして、何が問題なのかを正しく見ることの難しさ」を痛感した。

 さて、読んでいる途中「筆者が蓄積したノウハウ、農地、顧客などはどうするのだろう?」と、後継者問題が気になった。
 しかし、それも本書160ページにその方針が書かれてあった。「世襲に頼らない後継者への経営委譲」である。
 自分が築き上げたものをTOBしてくれる家族を探すのが、筆者の目標の一つであるらしい。

 この考え方、私の住む島で実現するには、壁は大きいが非常に参考になる。過疎化が進み、地域を構成する人員が減少する中「ここに血縁を持つものだけで再生するのは不可能」というところまで来ている。
 世襲じゃどうしようもないのだ。
 ここで生まれたからといって、みんながみんなここを好きなわけじゃないし。好きになれ!とも強要できない。また、好きであっても仕事がないというのもある。
 しかし、島の風土が好きだとか、文化が好きだとかいう人は少なからず存在する。可能なら移住したいという人もいるのだが、「仕事も、住む家もない」というのが現状だ。
 有効活用されてない島内の資産を、移住希望者に委譲できれば、状況の改善になると思うんだけども。
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Retired from games [感想]本 Produced by SUN
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